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映画大好きポンポさん|「社長テーマ課題」制度vol.4

第四弾のテーマ『映画大好きポンポさん』

第4回目の社長テーマ課題は劇場アニメーション『映画大好きポンポさん』(90分)

»関連記事「映画やアニメ、漫画好きにはたまらない!ユニークな「社長テーマ課題」制度とは」

紹介されてロケ撮影に向かう電車で観ました。
90分で全て完結するのでとても観やすいしテンポもとても良いです!

タイトルから分かる通りハリウッド?が舞台の映画制作におけるお話しです。
蛇足な話ですが、昔から映画の長さって90分がいいのか?120分がいいのか?の論争があり今回このアニメは「90分」にこだわるところが映画ファンの心をくすぐります。

https://kagurakanon.hateblo.jp/entry/2024/01/31/235633
(実際にこのアニメも90分で作られているのがミソ!)

今回の課題は「一体感を生む方法」です。
どうやって主人公は映画を完成させたのか?そのためには誰が何が何を必要でそれを動かすためには何が必要だったのか?

そしてもう一つの課題は「『捨てる』勇気」です。
職業病な話ですがこれはとにかくこのアニメを見て共感しました。
もったいない、せっかくなので、申し訳ない、etc・・・
そんな感情から生まれる「残す」にはなく『捨てる(切る)』という勇気はどんな時に、そしてどうやったら生まれるのか?

それが今回の課題です。

https://clapclap.co.jp/works/pompo.html

<受賞作に対しての社長コメント>

みなさんの考察、大変素晴らしかったです。課題提出者全員を受賞とさせていただきます。
クリエイティブに限らず、人生において一体感は必須ではないのかもしれません。周りとの関わりは、面倒なことばかり。
自分ひとりで生きていける環境があれば楽かもしれません。しかし、そんな中で自ら周りとの関係構築を描く環境に身を置き、その中で生まれる「一体感」を感じる瞬間は、感動を超えたワクワクの向こう側にあるのではないでしょうか。

人生は選択の繰り返しであり、必ず「捨てる」という選択肢が発生します。
「捨てる」こととは勇気であり誰かを思うことでもあると思います。
なかなか難しいことではありますが。今回は本当に素晴らしい内容ばかりでしたので、
全て受賞とさせていただきました。

今回の社長賞一つ目は
『90分で学ぶ「捨てる」勇気』
作者:S氏


©2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/ 映画大好きポンポさん製作委員会

「一体感を生む方法」

主人公が映画を完成できたのは、映画の中の主人公と自分を重ね合わせ映画の結末までのビジョンがはっきり見えていたからと言うのが一つの理由であり、
自分が最後まで編集をしないと自分の映画にならないという強い意志があったからだと思います。

また、その為に誰が何が何を必要だったかと言うのは各個人の配役だったり自分の立場の認識と監督が作り上げる映画への熱量が必要だったのだと思います。

このことは映画の内容をなぞれば自ずと見えてくる事ですが、結局一つの作品を作ると言うことはリーダーが行く先を示し、各個人個人がみんな同じ方向を向くと言うのが大事だと思いました。
ですが、リーダーがただわがままを通すだけならみんなは付いてこないと思います…
リーダーには素質と努力と何よりカリスマ性が他の人の何倍も必要だと思います。

「『捨てる』勇気」

このことに繋がる一つの理由、それは作っているのは一つの作品(映画)と言うことです。

アニメの作中では色々な人が携わり出した結果(各シーン)を全て良いものとして残していくと映画の前半だけでものすごい時間がかかってしまい監督が苦悩すると言うものでしたが、映画などクリエイターが作り上げるものは結局「一つの作品」でありそれを評価するのは「客」です。

最近ではスーパーで売っている野菜などにも携わっている生産者の方々の事が書いてあったり、売られている商品一つ一つにそれぞれ生産者のストーリーがあることを普段の生活の中からも見受けられます。
ですが、根本的な部分では受け取るものと与えるものは「良いもの」に対する「対価」が支払われるという単純なものです。

アニメの中でクラウドファンディングのシーンがありましたが、近年では作品が出来上がる前に「客」がお金さえ払えば生産者と同じ目線に立てると言う便利且つ恐ろしいシステムがありますがいつだって与える時は一発勝負です。
受けとってもらう前に…信用してもらう為に…受けとったあと喜んでもらえるように…クリエイターはそのことだけを考え作品を仕上げなければなりません。

社長賞二つ目は
『90分に込められた「信念」』
作者:M氏

今回の課題で初めて「映画大好きポンポさん」と出会いました。

©2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/ 映画大好きポンポさん製作委員会

率直な感想、面白かったです! 「映画大好きポンポさん」はこの作品のミソとなっている90分という尺に収めるために 繋ぎや演出・見せ方という部分が他とは一味違っていて キャラクターの表情や雰囲気、場面移動1つについても 伝えたい内容へのこだわりを感じました。

「一体感を生む方法」

「映画大好きポンポさん」における一体感はジーン監督の「信念」に自然とみんなが引き込まれ生まれていったのではないかなと思っています。

ポンポさんがジーンを監督に選んだのも内気なナタリーが撮影中に自らアイデアを提案できたのも
銀行員のアランが前を向いて歩きだせたのもジーン監督の「信念」がみんなの感情を動かしたからではないかなと考えます。

そういえば、自分も過去「一体感」を感じた時って人の「信念」心打たれた時だったな〜と。

つまり一体感を生むためには、
・信念を伝えること(どんな方法でも)が必要なのではないかと私は思います。

信念を伝え、勇気を与え、信頼を得て、みんなをまとめた。そうしてできたのが、ジーン監督の「MEISTER」だと。

「『捨てる』勇気」

一体感感じた撮影した映像を『捨てる』
私は、『捨てる』=『選ばない』ことだと解釈しました。そして「選ばない」選択を要するタイミングって、自分の「信念」に関わる時だと思うんです。

ポンポさんも「信念」のために、自分が監督をすることを選びませんでした。
ジーン監督も「信念」のために、思い出のシーンを選びませんでした。
ミスティアも「信念」のために、「MEISTER」に自分として出演することを選びませんでした。
「MEISTER」の主演の役も「信念」のために、家族を選びませんでした。
つまり自分の「信念」のために、勇気を出して『捨てる』んだと思います。

「チ。」についての課題の時に”死を選んでも絶対曲げないあなたの信念とは?”を考えました。
”死を選んでも絶対曲げない信念”なんです。強い気持ちなんです。
その強い気持ちが、『捨てる』勇気になり、人に影響を与え、一体感を得られるんだと私は思いました。

社長賞三つ目は
『映画は一人では作れない。』
作者:S氏

映画は一人では作れない。

演者・監督・技術スタッフ・演出家 …など専門に特化した様々な人たちが一つの作品を作っていく。
この時に携わる全ての人たちが同じ目標やテーマを持っていないと、「一体感を生む」と言うのは難しいだろう。
その携わる大勢の人の長、監督の役割がとても重要になってくる。
監督の意向に全ての人間が動くのだ。
監督が迷っていたり、軸となる意思を持っていなければ誰もついてはいかないし、一体感など無い。
初めのうちはジーンも受け入れる形で意見を取り入れていたが、その中でもどれが最適解かを適切に判断できていたのはノートにぎっしりとメモを書くほど映画への知識量と愛情があったからなのではないだろうか。
そしてそれをポンポさんは見抜いていた?

本作ではチームの信頼関係も大事になってくる。
新人監督を任されたジーンが撮影時に考えていた時、演者やスタッフがさまざまなアイディアを出し合いとても良いシーンが撮影できた。
みんなが自由にアイデアを出せる空気があったからこそ、良いシーンが生まれ、作品がいい方向にいったのは監督・演者・スタッフたちが同じ軸を持っていたからでは無いだろうか。また、ジーンの我を出さずに人を尊重していたように思える。そのような監督だったらとてもやりやすそうだなと感じた。

そしてそんな環境で撮れた70時間以上の素材を90分に編集するところが本作の「肝」だと思う。
編集一つで伝わり方が変わるし、意外と難しい。せっかく良く撮ったのだからカットしたくない!というのはとってもわかる。
だがそれを使わなくても内容は伝わるよね、、、カットしよう。などと判断していくと極端に面白く無くなる。
全てカットしていいわけでも無いのが編集の難しいところだ。
このシーンは絶対に使いたい!ここは使ってあげたい…というのがあるのもとってもわかるしとても勿体無い。作中でもナタリーの初カットもあっけなく切られてしまった。(悲しい)

だが編集で一番大事なのは作品としてみたときに完成できているかかどうかだと思う。
いってしまえば、どれだけ自分が大事なシーンでも観客はそのシーンに何の思入れもないのだ。

私自身も15分ほどの短編ドラマを制作した時に、編集作業で「ここをカットするしかないよな…」と悩み続けた経験がある。
時間をかけて撮ったシーンを削るのは惜しいが、全体の流れを考えるとカットせざるを得ない。その決断に何度も迷い、編集を1からやり直したことを思い出した。首がもげるほど共感してしまった。

この映画では「90分」にとてもこだわっている。なんでそんなに「”90分”の”映画”」にこだわるのだろうか?
ポンポさんは「観客に2時間の集中を求めるのは現代の娯楽消費に向いていない」と言い、ジーンに90分の映画を作るようにした。

確かに、TikTokのような短いコンテンツが流行っているし、最近のドラマも短くなっている。だが、映画だけは長くてもいいのではないか?
そこがドラマや縦型とは違う”映画”のアイデンティティでは?「映画には正解がない」とよく言うが、ポンポさんにとっての正解が「90分」だっただけなのだろうか。

映画を作る中で「君の映画に君はいるか?」というポンポさんの言葉があった。
私自身、感想を書きながら、こんなに疑問だらけな映画を見ていたのか…と言う気持ちになった。

つまり、この映画の正解もまた、自分自身で見つけ出すものなのだろう。

以上、社長賞の受賞おめでとうございます!!

今回の課題「一体感を生む方法」と「『捨てる』勇気」は、単なる映画制作における話ではなく、仕事や人生において重要な考え方を学ぶためのものです。

映画制作は、一人では成し得ないものです。監督・演者・スタッフなど、多くの人が関わり、それぞれの役割を果たすことで一つの作品が完成する。このプロセスは、普段の仕事でも同じです。

チームとして同じ目標に向かうために、リーダーは何をすべきか…

・明確なビジョンを示すこと
・チームメンバーの意見を尊重しながらも、最終的な決断を下すこと
・信念を持ち、それを周りに伝えること

つまり、単に「チームワークが大事」という話ではなく、『リーダーが明確な信念と目的を持ち、それを共有することで、周りが自然とついてくる』ということを改めて考える機会となりました。

『捨てる』勇気は何を選び、何を手放すのか

映画の編集では、どれだけ素晴らしいシーンでも、全体の流れを考えたときに不要ならばカットしなければなりません。
この「もったいない」という気持ちを乗り越えて、「作品として最も良い形にするための決断」をすることが必要になります。

これは、仕事や人生においても同じです。
・やりたいことが多すぎると、本当に重要なものが埋もれてしまう
・時間やリソースには限りがあり、すべてを取ることはできない
・「選ぶ」ということは、「捨てる」ことでもある

この課題を通じて、「目の前の仕事や人生の選択において、本当に大切なものを見極め、不要なものを手放す勇気を持つことが大事」という気づきを得ることができました。

この課題は、映画という題材を通じて、 「一体感を生むリーダーシップ」「取捨選択の決断力」 を学ぶ機会となりました。
・チームで成果を出すためには、一人ひとりが目標を共有し、信頼し合うことが必要
・リーダーは明確なビジョンを示し、メンバーの意見を尊重しながらも決断を下すことが求められる
・本当に重要なものを見極め、それ以外のものを捨てる勇気を持つことが大切

映画制作と仕事は一見違うものの、本質的には同じです。
『自分の役割を理解し、周りと協力しながらも、必要な決断を下せる』・・・そんな人間になりたいと思いました。